研究課題/領域番号 |
03454542
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
牧田 章 北海道大学, 医学部, 教授 (60004561)
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研究分担者 |
本家 孝一 北海道大学, 医学部, 助手 (80190263)
賀佐 伸省 北海道大学, 医学部, 助教授 (10142712)
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キーワード | 脳発育 / 糖鎖合成酵素 / 糖脂質 / 単クロン抗体 / 組織化学 |
研究概要 |
脳組織を識別、採取し得る胎生12日以後のマウス脳について糖脂質の生合成を調べて以下の成績を得た。1.脳ガングリオシド生合成のaシリ-ズとbシリ-ズに共通の前駆体、ガングリオシドGM3の合成に働くGM3合成酵素は、胎生後期(胎生14日)より生後2日まで徐々に活性が高まり、以後活性は漸減するが、極端な低下はなく成体において一定のレベルを保つ。2.aシリ-ズに関し、GM2合成酵素レベルは胎生後期より著明に上昇し、生後2〜5日目で胎生12日目の約20倍の最高値に達し、生後10日目で急激に減少し一定値を保つ。GM1合成酵素も同様の傾向を示した。3.他方、bシリ-ズの初発反応に働くGD3合成酵素は、調べた胎生12日目が最も高く、以後漸減し、成体のレベルは最も低かった。4.ネオラクト系(nLc)糖脂質の合成に関し、nLc4Cer合成酵素の活性レベルは上記のガングリオシド合成に比べて10〜100分の1と低いが、胎生18日目と生後5日目に2相性の活性ピ-クを示し、生後20日以後のレベルは極めて低かった。LeX合成酵素活性は、胎生時は1定のレベルで推移するが、生後急速に低下する。これらの結果は胎生脳でのnLc系糖脂質の発現を酵素レベルによって裏付けたものである。グロボ系糖脂質の酵素レベルは本研究で用いた方法の測定限界以下であった。5.GD3に対する単クロン抗体による脳組織染色を行った。その結果、GD3は胎生14日までは脳の全層に、16、18日目では脳室周囲の細胞に限局して存在するが、生後14日以後では集積は認められなかった。Gb3Cer、nLc4CerやLeXについては抗体による明らかな陽性は検出できなかった。 本研究により、脳の発育に伴う糖脂質系列の発現変遷を合成酵素レベルによって明らかにすることができた。
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