研究概要 |
T細胞におけるリンホカイン遺伝子活性化にはカルシウムとPMAシグナルが関与する。両シグナルに応答するGM-CSFプロモーターのcis調節領域としてこれまでにCLE2/GC-boxおよびCLEOを同定したが、HTLV-I TAXによるGM-CSFプロモーターの活性化にはCLE2/GC-boxのみで充分であり、CLEOは必須でないことから両者の活性化機構が異なることを示した。CLE2/GC-boxは免疫グロブリンк鎖遺伝子に存在するNF-кB結合部位と配列上相同であるが機能的にも交換可能であることを示した。CLE2/GC-box/CLEOはカルシウムとPMAシグナルに応答する機能単位であり、GM-CSFだけでなく他のプロモーターをも活性化しうることを示した。HTLV-I TAXに応答する IL-3プロモーターのCT/GC richエレメントをプローブとしてDNA結合蛋白質cDNAをSouthwestern法によりスクリーニングし、EGR1,2に加えてZincフィンガーモチーフを持つ新規クローンDB1を単離、同定した。これらのZincフィンガー蛋白質はIL-3プロモーターを上流配列および刺激依存的に活性化した。さらに我々はIL-5プロモーターはマウス胸腺細胞腫EL-4においてcAMPとPMAの二種類のシグナルの共同によって50倍以上活性化されることを明らかにし、cAMPとPMAに応答するIL-5プロモータのcis調節領域を同定した。cAMPは対照的にPMA刺激により活性化されるIL-2,GM-CSF,IL-4,IL-10遺伝子の発現を強く抑制する。これまでIL-5プロモーター活性化シグナルは不明であったが、PMAとカルシウムシグナルと共にPKAを通したシグナルがT胞細活性化の制御に関与することを示した。
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