研究概要 |
色素性乾皮症のD相補群(XPD)は,世界的に頻度が高く,高発癌性で,紫外線(LIV)損傷をほぼ完全に欠損する.XPD細胞のLIV高感変性とDNA除去修傷欠損を相補する置伝子をクロ-ニングすることは、XPDの遺伝性突然変異を明らかにし,XPDタンパクの機能を知る上で大切である。本研究では,第一に日本人XPDのXP59TO線維芽細胞を複製原点の欠失変異をもつSV40断片(pSVΔOri)で形質転換し,不死化クロ-ンを得た。このクロ-ンのLIV感変性は親株と同一(n=1.0,D_1(平均致死線量)=0.75/m^2)の高感変性であった。第二に,ヒト正常cDNAライブリ-(pCD)およびネオマイシン耐性遺伝子を発現するpCD2ライブラリ-を数回大スケ-ルで導入した。コンプレキシティ-が低く,pCRで増巾できるcDNA組込み乾換株が得られなかった。そこで,正常cDNAが一方向に挿入され,LTRプロモ-タ-で発現され,かつneo遺伝子をもち,プラスシド回収ができるλpCライブラリ-を用いて,導入・形質転換実験を3回(10^8細胞)行った。その結果,二次選択で20個,さらにLIV生存曲線スクリ-ニングで3個(D_0=1.7,1.7,2.0J/m^2)を選択した。そのうち,1クロ-ンがneo断片をもつ安定なクロ-ンとして得られた。現在プラスシド回収を行うと同時に,そのゲノムDNAをcDNA挿入部の5'と3'ベクタ-配列の人工合成PCRプライマ-を用いて増巾した。このcDNAがXPD細胞を相補するかを知るために必要なクロ-ンを得るために,このPCR増巾断片を用いて,ネオマイシン耐性遺伝子を発現するpCD2ライブリ-から選択とクロ-ニングを行っている。今後cDNAがクロ-ニングできると,その構造解析が期待できる。
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