研究概要 |
(1)Weeda等によりクローニングされたXP-B遺伝子より推定されるアミノ酸配列のうちC端側12残基に相当するペプチドを合成し,これをヘモシアニンと化学結合した。このもので家兎を免疫し,得られた抗血清をペプチドカラムで精製した。得られた抗体は免疫に用いたペプチドと特異的に反応することがウェスタンブロットで確認された。この抗体が自然状態のXP-Bタン白と反応するかどうかを確めるため,i)この抗体を正常細胞の核へ注射し,不定期DNA合成(UDS)を抑制するか,ii)XP-B活性を有するHeLa細胞抽出液と混合し,それをXP-B細胞に注射してXP-B活性が抑制されるかどうかをUDS回復の有無で調べたが,いずれも陰性であった。自然状態のXP-Bタン白と反応する抗体を確実に得るため,(2)より大きなXP-Bタン白の断片で免疫することを考えた。このためHeLa細胞由来のmRNAより作製したcDNAライブラリを用い,XP-Bタン白N端側約350アミノ酸残基に相当するcDNA断片をPCR法を用いて増巾した。この断片を大腸菌発現ベクターpET23aに組み込み大腸菌を形質転換した。この大腸菌に誘導をかけ,可溶性分画中に融合タン白を得た。このタン白を精製して現在家兎を免疫中である。また最近Legerski等によりXP-C遺伝子がクローニングされcDNAの塩基配列が明らかになった。そこでXP-Bタン白で用いた方法で,XP-Cタン白のN端側約330アミノ酸塩基に相当するタン白を大腸菌で大量発現させ,これを精製して家兎を免疫している。これらの家兎からXP-B,XP-Cタン白と反応する抗体が得られれば,これら2種のタン白がヒト細胞内で複合体を形成しているかどうかが,免疫沈降法等を用いて解明されるものと考えられる。
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