動物細胞の細胞周期調節遺伝子の分離とその機能の研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03454560
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 西本 毅治 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10037426)
• キーワード: 温度感受性変異 / 細胞周期 / DADl / CCGl

研究概要

ハムスター由来の継代培養細胞株BHK21より分離された細胞増殖に関する温度感受性変異株を用いて変異を相補するヒト遺伝子を分離し、そのcDNAを得ることをこの研究の第一歩としている。ついで、塩基配列より推測されたタンパク産物と相同なタンパクをコンピューターを用いて探索する。相同な物が見つかった時にはそのタンパクの機能と変異株の表現型から細胞増殖、および細胞周期における役割を明らかにする。相同なタンパクがないときは、まづ予想されるタンパクに対する坑体を作成し、これを用いて細胞内での局座位、細胞周期における消長などを知らべ、新たに分離されたタンパクの機能を推定する。これが我々の基本戦略である。
本年度は新たに温度感受性変異株_<ts>BN7変異を相補する遺伝子DADlのコードするタンパクが細胞質のオルガネラであるゴルジと同じ所に存在するがしかしゴルジではないことを明らかにした。又、CCGl遺伝子が温度感受性変異tsBN462の変異遺伝子であることを明らかにした。現在、新たに温度感受性変異tsBN67を相補するヒト遺伝子がとれつつある。

研究成果

• [文献書誌] Watanabe,M.,Nishimoto,T.et al.: "Functional equivalencen of human X-and Y-encoded isoforms of ribosomal protein S4 consistent with a role in Tumer syndrome." Nature Genetics. 4. 268-271 (1993)
• [文献書誌] Nakashima,T.,Nishimoto,T.et al.: "Molecular cloning of a human cDNA encoding a novel protein,DAD1,whosedefect causes apoptotic cell death in hamster BHK21 cells." Mol.Cell.Biol.13. 6367-6374 (1993)
• [文献書誌] Klebe,C.,Nishimoto,T.,et al.,: "Functional expression in E.coli of the mitotic regulator proteins p24ran and p45RCC1 and fluorescence measurements of their interaction." Biochemistry. 32. 11923-11928 (1993)
• [文献書誌] Hayashida,T.Nishimoto,T.,et al.: "The CCG1/TAFII250 gene is mutated in thermosensitive G1 mutation of the BHK21 cell line derived from golden hamster." Gene. (in press). (1994)