研究概要 |
研究の目的:三次元構造情報が蛋白質の機能の理解に本質的な役割を果たしており、更に多くの独立な三次元構造情報を私達は必要としている。蛋白質X線結晶解析の場合、律速段階である結晶化条件の確立の過程を加速することによりこの要請に答えることが出来る.そこで、この研究では蛋白質分解酵素で分子整形を目的の蛋白質に行うことにより迅速に結晶化に至ろうとする。分子整形を迅速に系統的に行うことにより、分子整形を結晶化実験のル-チンのひとつとして確立し、これにより結晶化条件の確立の過程を加速することを達成したい。 研究の成果 申請者が結晶化実験を行っている蛋白質(FlーATPase,α3β3複合体,DNAポリメラ-ゼβ,EnvZ蛋白,phoB蛋白,Band3,CamR蛋白,ラセマ-ゼ)を対象にし、以下(1),(2)の実験を行なった. (1)整形された分子を準備する。:特異性の高い蛋白質分解酵素を用いて、適当な分子整形のおきる条件を見つける。整形された分子を精製する。 (2)整形された分子を用いて結晶化実験を行う。 8種の蛋白質(FlーATPase,α3β3複合体,DNAポリメラ-ゼβ,EnvZ蛋白,phoB蛋白,Band3,CamR蛋白,ラセマ-ゼ)についてまず球状ドメインへの分割,比較的大きい末端ペプチドの除去を試みた.DNAポリメラ-ゼβについては,球状ドメインへの分割が見られた.phoB蛋白,CamR蛋白については,大きい末端ペプチドの除去が見られた. DNAポリメラ-ゼβの各ドメインについては,(1)C末側の大きなドメインが非常に良い結晶になることを見いだした.3Å分解能を超える反射を記録した,また(2)一方N末側の小さなドメインも結晶化可能であることを見いだした. 末端ペプチドの除去されたphoB蛋白,CamR蛋白については,これから精製,結晶化実験を行なう予定である.
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