研究課題/領域番号 |
03454567
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
神山 勉 理化学研究所, 生物物理研究室, 先任研究員 (30170210)
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研究分担者 |
井上 頼直 理化学研究所, 太陽光エネルギーグループ, 主任研究員 (70087592)
神谷 信夫 理化学研究所, 結晶学研究室, 先任研究員 (60152865)
櫻井 郁子 理化学研究所, 生物物理研究室, 先任研究員 (10087405)
植木 龍夫 理化学研究所, 生物物理研究室, 主任研究員 (30029954)
藤澤 哲郎 理化学研究所, 生物物理研究室, 研究員 (10231565)
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キーワード | 蛋白質の結晶化 / 膜蛋白質 / 生体膜 / バクテリオロドプシン / 蛋白質結晶構造解析 / 起高次構造 / X線構造解析 / 光合成反応中心 |
研究概要 |
温度勾配蒸気拡散法という新しい結晶化法の開発を行ってきたが、この研究の途上で、バクテリオロドプシンの結晶(六方晶)が大きく(〜1mm)成長する結晶化条件を見いだした。この六方晶のX線結晶構造解析を行なうため、小角領域の回析像(振動写真)を高分解能で記録できるようにX線カメラの改良を行ない、また、結晶構造を維持する方法についてもいろいろな角度から検討した。結晶内の蛋白質占有率が低いとか、長周期構造が存在するとか、のX線構造解析を難しくしている要因が明らかとなったが、これらの諸問題を克服して、最終的に結晶の格子定数(空間群R32もしくはP6_322,ah=53mm)求めた。さらに、結晶内の蛋白質のパッキングの情報を独立に得る方法について検討し、具体的には、結晶の破片を電子顕微鏡を用いて観察し、結晶表面の構造を原子間力顕微鏡を用いて観察した。その結果、「バクテリオロドプシン数百分子が集合して径50mmの球殻構造を形成し、これが最密充填して結晶を構成する。ということを明らかにした。また、結晶の破片の懸濁液の光誘起PH変化の測定を行ない、球殻構造体には脂質が含まれること、バクテリオロドプシンのプロトンポンプ活性が正常であること、蛋白質のC末端側(細胞質側表面)が外側を向いていること、を明らかにした。 膜蛋白質の3次元結晶を大きくかつ定速に成長させる技術の確立を目指して、蛋白質の結晶化法として利用されている温度勾配法を蒸気拡散法の利点を取り入れ、両者をドッキングした技法の開発を行なうことが本研究課題の主目標であった。しかし、上述した様に研究が予定していたより急速に進展してしまい、新しい結晶化技術を確立するための基礎研究に充分な時間を費やすことができなかった。この点に関しては反省し、今後の研究課題として引き続き研究を行なっていくつもりである。
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