研究課題/領域番号 |
03455001
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 信敬 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (70002277)
|
研究分担者 |
小林 大二 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (30001655)
松田 彊 北海道大学, 農学部附属演習林, 助教授 (30002075)
白沢 邦男 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50196622)
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (40222955)
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
|
キーワード | 流域水収支 / 熱収支 / 蒸発散 / 地下水位 / 流量 / 遮蔽率 / 森林密度 / 土壌水分 |
研究概要 |
北海道北部雨竜川上流の実験流域において、流域を代表する開地、落葉樹林、常緑樹林、斜面及び山頂を選んで熱収支、蒸発散量、水収支の季節変動の観測を行った。この間の地表面状態は雪氷面から裸地面、植被面へと変化し、さらに落葉樹林はその森林密度が0.35から0.78の範囲で変化した。 (1)融雪期の各地点における熱収支から求めた融雪量を実測値と比較すると良い一致を示しており、熱収支法は流域熱収支の算定に有効であることが確認された。 (2)開地の熱収支成分の中では放射収支が最も支配的な成分であり、冬期には顕熱、融雪期には融雪熱量、夏期には蒸発量が放射収支量を補償する主な成分となっていた。林内では森林により放射や風速が20〜70%も減少するが、それでも放射収支量が依然として最も顕著な熱収支成分であった。 (3)蒸発散量を大きく左右する地下水位の挙動はシルト質に富む風化火山灰土壌から成る南北斜面のそれぞれ5地点の各3深度(0.5m,1.0m,2.0m)にテンシオメータを配置して観測した。各地点とも活発な融雪が生じると土壌のどの深さでも短時間の内に飽和し、以後は飽和状態を維持した。 (4)積雪地帯で最も河川流出量の多い融雪期から夏期までの3ケ月を選びこの期間の蒸発散量を求めた。植被土壌を充填した蒸発皿を用いて得られた蒸発量は161mm、ペンマン法では329mmであったが、ペンマン法は可能蒸発散量であるため過大評価されている。そこで降雨直後の実蒸発散量と可能蒸発散量の比を求め(平均0.54)、ペンマン法を補正して実蒸発散量を推定して178mmを得た。一方、期間中の積雪水量は538mm、降水量は234mm、流出高は578mmであり、その差193mmが流域の水収支残差となる。残差としては、蒸発散量と流域内貯留量が考えられるが、得られた蒸発散量はその約9割に相当することが分かり、水収支に占める蒸発散水損失量が極めて大であることが示唆された。
|