研究課題/領域番号 |
03455012
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阪上 孝 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70047166)
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研究分担者 |
服部 春彦 京都大学, 文学部, 教授 (20022345)
大東 祥孝 京都大学, 留学生センター, 教授 (90169053)
光永 雅明 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (20229743)
大浦 康介 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (60185197)
富永 茂樹 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (30145213)
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キーワード | フランス革命 / 国民国家 / 統計学 / 人権宣言 / 人口問題 / 救貧法 / 中間集団 / 世論 |
研究概要 |
1・研究資料の収集および解読。功利主義関係ではジェイムズ・ミルの著作集、経済思想史関係では19世紀イギリス経済思想コレクションなど、前年度にひきつづき本研究にかかわる文献の収集をおこない、前年度に収集した文献もあわせて、研究会の方向に即してそれらの読解を進めた。 2・研究会の開催。本年度は、本研究にかかわる14回の研究会をもち、大革命時のフランスを中心に以下の点について報告・討議を重ねた。(1)「社会」という概念の成立。十八世紀以来の人口問題の展開を概観したうえで、人口問題に対処する科学・技術としての統計学、それをあつかう知識人たち、さらには同問題に対処する制度としての救貧法を、フランス、イギリスの諸例を中心に検討し、人口問題への対応から十九世紀に特有の「社会」概念が発生することを確認した。(2)「国民」という概念の成立。フランス革命における人権宣言や、国民統合のこころみ、また、その際に変遷を見せた中間集団や世論の位置づけ、さらには、アメリカ合衆国における言語ナショナリズムの検討などをつうじて、近代的な国民国家のもとであらたな「国民」概念が成立した背景を歴史的に検証した。(3)本研究の総合。昨年度来の研究会をつうじて明らかになった諸点を総合すべく、討論を重ねた。とくに、フランス人権宣言(1789年)から憲法制定(1791年)にいたる過程で生じた「人間」というものの新しいとらえかた、およびそれに基づいた新たな社会編成の方向が議論の対象となった。現在は、そのような「人間」概念の創出において科学・技術がはたした役割について、さらに議論を重ねている。また以上でいう「社会」・「国民」・「人間」概念の理解を深めるためにも、日本における近代国家形成の検討など、比較史的な視点を導入している。
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