研究分担者 |
宮島 郁夫 九州大学, 農学部, 助手 (20182024)
浦川 成美 九州大学, 医学部, 助手 (80232916)
今村 徹 九州大学, 医学部, 助手 (00193681)
工藤 恵子 九州大学, 医学部, 助手 (10186405)
木村 恒二郎 九州大学, 医学部, 講師 (30153191)
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研究概要 |
前年度作成した微量植物色素斑痕中のflavonoidの分析法を用いて,今年度は実際の犯罪現場の特定を試みた. 1.強姦事件の被害者が着用していたスラックス及び半袖シャツに付着していた緑色調斑痕のflavonoidを分析したところシロツメクサの含有flavonoidと一致する3つのピークが認められた.被害者の自転車が放置されていた場所の近くにシロツメクサが押し倒された場所があり,犯人の自供とも併せてそこが犯行場所と確認された. 2.漂着死体で発見された被害者は両手首,両腕をロープで縛られており,そのロープと皮膚の間に約2cm長の植物片が挟まれていた.発見場所より約100m上流の草むらで被害者の靴が発見された.この植物片はイネ科の植物と形態学的に推定されたので,靴が発見された現場から4種のイネ科植物を採取し含有flavonoidを分析したところホソムギとネズミムギが植物片のflavonoidパターンと一致した. 本法によってホソムギとネズミムギを区別することはできなかったが,この2つの植物は常に同一場所に生育しお互いに交配し雑種をつくる習性があることから,靴が発見された場所を犯行現場としても矛盾はないものと判断された. 3.強姦殺人事件の被疑者の背広左袖にある緑褐色調の斑痕と犯罪現場に生育する植物の異同識別を行った.現場から採取された植物のうちヘクソカズラ,ナズナ,セイタカアワダチソウはいずれも背広に付着した斑痕のflavonoidと一致せず,スギナの主ピークと一致した.その後この植物が着衣の袖に付着したらしいことが被疑者の自供から判明した. 以上のように本法が犯罪現場の特定に有効であることが判明した.
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