本研究計画によって以下のような研究成果を得た。 1.機能ドメインの解析 IP_3受容体のリガンド結合領域は、N末端650アミノ酸配列内に存在する。受容体/チャネル複合体は4量体として機能するが、この構造には膜貫通領域が重要である。 2.タイプ1受容体のスプライシング・サブタイプ解析 IP_3受容体にはaltemativeスプライシング部分が2箇所存在することがわかった。1つはリガンド結合領域内にあり、もう1つは2つのPKAリン酸化部位に挟まれた所に存在する。これらスプライシング・サブタイプは、組織特異的、発達段階特異的に発現調節されていることがわかった。 3.ショウジョウバエIP_3受容体cDNAのクローニング ショウジョウバエ頭部よりIP_3受容体cDNAをクローニングし、その全一次構造を決定した。IP_3受容体の発現部位の解析から、ショウジョウバエにおけるIP_3Ca^<2+>シグナル伝達の多様な役割を示唆する結果を得た。また、IP_3受容体遺伝子の染色体マツピングを行い、既知のミュータント遺伝子座とはリンクしないことがわかった。 4.中枢神経系でのIP_3受容体ファミリーの発現 IP_3受容体ファミリーのマウス中枢神経系での発現分布を、in situハイブリダイゼーション法で解析した。マウス中枢神経系では、IP_3受容体ファミリーのなかでもタイプ1受容体が優先的に発現していることが明らかとなった。タイプ1受容体遺伝子はマウス第6染色体上にマップされた。
|