研究概要 |
I.稲の白葉枯病抵抗性の機構に関する研究 (1)農林27号の健全葉から抗白葉枯病菌物質であるオリザライド関連化合物の検索を行った。脂溶性中性分画よりカウレン骨格のA環が酸化された新規化合物としてent-15,16-epoxy-2,3-diketo-kaccrane,ent-15,16-epoxy-2keto-3hydroxy-Kaierane等の構造を明らかにした。 (2)オリザライド類と白葉枯病病害抵抗性との関連を追求するため、GS-MS-SIMを用いてオリザライドA,BとオリザリックアシッドA,Bの微量定量を実施した。四種の化合物の合計量を比較すると稲の器官ごとでは葉に多く登熟期にすすむに従ってその含量が増加する。また白葉枯病菌を接種することによって数倍に増加することが明らかにされた。今後さらに抵抗性との関連について検討をすすめる。 II.いもち病に抵抗性を示す野生稲、Oryza officinalis w0002の生葉抽出物より、抗いもち菌物質としてアゼライン酸のモノメチルエステル,11-hydroxy-9(z)-dodecencic acid,12-hydroxy-9(Z)-undecenoicacidを単離し構造を明らかにした。これらの化合物の活性はED_<50>が50〜70μg/mlである。 III.トウモロコシのごま葉枯病菌の生産する宿主特異的毒素HMT-Toxin,PM-Toxinの構造活性相関に関する研究では、PM-Toxin関連化合物の合成を進め、標識PM-toxin類緑体の合成を行ない、天然毒素と同レベルの高い活性を持った光親和性標識化合物を得ることができた。
|