研究概要 |
結果: I.病原菌の生産する植物毒素の研究として:a)これまでに多数のHMT-,PM-毒素類縁化合物を合成し活性を比較することにより構造-活性相関の研究を行なった結果、直鎖のポリケトール構造を有する両毒素は環状構造をとって植物側の活性部位と結合している可能性を指摘した、またβ-ケトール基の數は4個以上でこれをつなぐ間のメチレン基は7個以上で最も活性が強くなることを明らかにした、b)Pyricularia oryzaeの寒天平板培養抽出物より病徴発現物質として知られるpyriculol関連物質として2種類の新規植物毒素の構造を明らかにした。さらにはepipyriculolを天然物としては初めて単離、同定した、モロコシの紫斑点病菌であるHelminthosporium sorghicolaの培養条件を変えて宿主選択物質の産生の有無を調べたが検出には至らなかった。 II.植物側の防御物質に関する研究として: a).i)イネ白葉枯病菌のI群菌抵抗性品種である農林27号の健全止葉より新規ジテルペン系抗白葉枯病菌物質としてオリザライドAとその関連物質、9種を精製、単離、構造解析した、ii)GC-MS-SIMでオリザライド類の微量定量を行なった結果、農林27号ではオリザライド類は健全葉に見られ、障害及び白葉枯病菌接種で数倍に含量がふえる。他の品種について同じ実験を行なった結果、Rantai emas,Te-tepでは農林27号と同じ傾向を認めたが、早実愛国のについては殆ど量的増加が見られずオリザライドA,B又はオリザール酸A,B以外の物質が関与している可能性を示唆するものである,b)イネのいもち病に抵抗性を示す野生稲Oryza officinalis W0002の健全葉中に含まれる抗いもち菌物質の精製、単離を行ない(-)-ジャスモン酸を同定するとともに新規な2種の脂肪酸の化合物を明らかにした。
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