研究課題/領域番号 |
03455026
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小山内 実 金沢大学, 理学部, 教授 (50113486)
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研究分担者 |
鈴木 幸一 岩手大学, 農学部, 助教授 (20003791)
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キーワード | イニシャトリン / 無核精子 / 精子の運動性獲得 / イムノブロッティング / 前立腺 / ヤママユガ / カイコガ / エンドペプチダーゼ |
研究概要 |
カイコガBombyx moriの前立腺のみに局在する、セリンプロテアーゼ型エンドペプチダーゼ、イニシャトリンは、精包における精子の運動性獲得のための反応を開始させ、いわゆる"静"を"動"の状態に変換せしめる重要な酵素である。少なくとも4つの生理的機能を有する。この酵素は極めて不安定で、アルギニンのC側で蛋白のペプチド鎖を切断する。前立腺抽出物を、電気泳動で展開後、イニシャトリンのバンドを切り出して抗体を作成し、イムノブロッテイングで調べた。前立腺にあるイニシャトリンは30KDaであるのに、精包のは29KDaであった。精包を出発材料として、TSK-Phenyl-5PW、Asahipack ES-502cカラムを用いてHPLCで精製し、4種のイソフォームを得た。2種は29KDaで、他の2種は26KDaであった。また、最後の精製に使用したES-502cカラムを用いて再度精製すれば、精製度が200%から100%に低下し、無核精子の賦活能も高くないことが分かった。これらは、この方法で得られたイニシャトリン標本が、分解され、不活性化されていることを示唆した。そこで、まずイニシャトリンに対するプロテアーゼ阻害剤の反応を調べ、次に、最大の阻害度を示したABA(p-aminobenzamidine)を用いてアフィニティカラムを作製し、前立腺からFPLCで分離精製を行った。このカラムの適用は、いずれもBAEEase活性を示す2つの蛋白分画をもたらした。分子量は30KDaと29KDaで、29KDaのは、30KDaの分解物であろうと推定された。高い無核精子賦活能も確認された。
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