研究課題/領域番号 |
03504001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池沢 幹彦 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (10004334)
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研究分担者 |
小山田 正幸 東北大学, 理学部, 助教授 (90004358)
近藤 泰洋 東北大学, 工学部, 助教授 (20013534)
伊師 君弘 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (00125494)
柴田 行男 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (70006154)
大坂 俊明 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (20152100)
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キーワード | 放射光 / コヒ-レント放射光 / 赤外分光 / 遠赤外線 / ミリ波 / ライナック / 加速器 / 電子バンチ |
研究概要 |
(1)コヒ-レント放射光のスペクトルについて、形状及び微細構造に関する高分解分光計測を行ない、バンチ間での干渉効果を検出し解析した。更にダクトのシ-ルド効果の影響を詳細に観測・検討した。 (2)最近新たに見い出されたコヒ-レントな遷移放射に関して、以下の実験結果を得た。(A).核理研ライナックからの電子線をA1箔の放射体を通過させ、放射強度とその角度分布を測定した。ミリ波〜サブミリ波領域のスペクトルの形状は、コヒ-レントな放射光のものに類似している。強度のインコヒ-レントな遷移放射に比しての波長1mmでの増大率は、バンチ内の電子数(3.6×10^6)と等しいオ-ダ-であり、コヒ-レント効果に依ることを確認した。ビ-ム電流への依存性からも、強度がバンチ内の電子数の二乗に比例するコヒ-レント効果の証拠が得られた。強度は発光長のほぼ二乗に比例し、理論的に説明出来る。角度依 存性は、遷移放射光が円錐状に放射されることを示していた。(B).観測スペクトルから、逆フ-リエ変換により、バンチ内の電子分布を求めることができた。得られた結果はほぼガウス分布を示し、半値幅、即ち縦方向のバンチの長さが0.27mmと求められた。このバンチ形状は、コヒ-レント放射光のスペクトルの解析から得られるものと、よく一致しており、コヒ-レントな遷移放射が、電子バンチ計測用のプロ-ブとして使えることを示している。 (3)分光計測用の光源としての応用に関しては、遷移放射により透過率の測定が、波長3mm迄は高い精度で測れ、波長5mm付近まで実用可能である事が判った。また更に、10nsの光パルスによる過渡的吸収の観測装置を製作した。これにより電子パルス照射によって、マイクロ秒程度の短寿命の格子欠陥(の状態)が生じ、それによるミリ波〜サブミリ波の吸収が生じる事が予想されるので、今後それを検出し、観測する予定である。
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