研究課題
試験研究(A)
大表面積を持つ炭素材料(活性炭)の機能を高度化するとともに、他の機能を付与して多元化することを目的として、1)構造・組織と各種ガス吸着特性との関係の解明、2)レーザー照射およびドーピングによる表面改質と吸着特性の向上、のための基礎的検討を行った。1)構造・組織と各種ガスの吸着特性との関係種々の原料から作られた17種の活性炭について、その基本的吸着特性として、窒素および炭酸ガスの吸着・脱離曲線を種々の温度で測定した。殆どの活性炭で吸着曲線と脱離曲線とは完全に一致した。種々の温度での吸着曲線がポラニイプロットで一本の曲線となり、吸着機構は温度に依らず同一であると考えられた。また、窒素ガスによって決定したBET比表面積は炭酸ガスによる値と一致した。しかし、球状フェノール樹脂から作られた活性炭では、炭酸ガスの吸着・脱離曲線が一致せず、炭酸ガスが吸蔵されることを見出した。2)レーザー照射およびドーピングによる表面改質と吸着特性の向上フェノール樹脂の700゚C炭素化試料を用いて種々の雰囲気でYAGレーザー光の照射を行い、レーザー照射がアンニーリングと賦活の2つの効果を持つことが明かとなった。また、硫酸あるいはアルカリ金属とTHFをインターカレーションさせた後、急熱処理を行い、ホスト黒鉛を膨張させた。この処理によって、層面に垂直方向に約300倍にまで膨張するが、比表面積としては20m^2/g程度にしか増加せず、さらに賦活処理が必要である。さらに、レーザー照射による炭素材料表面へのシリコンなど異種原子のドーピングのための基礎的検討を行った。ドーピングの可能性を確認することが出来たが、それに加えて、レーザー照射下での反応は複合材料の作製技術として利用できることを見出した。
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