研究課題/領域番号 |
03551005
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研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
西村 康 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (80000488)
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研究分担者 |
斎藤 正徳 東京工業大学, 理学部, 教授 (10011553)
亀井 宏行 千葉大学, 工学部, 助教授 (60143658)
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キーワード | 遺跡 / 探査 / 磁気探査 / グラジオメ-タ- / 地磁気の三成分 / フラックスゲ-ト |
研究概要 |
本研究の目的は、遺跡探査に応用する新たな探査装置である三軸グラジョメ-タ磁力計を開発することにある。 本年度は、装置を組立完成すること、それが有効な測定をするかどうかを点検すること、実際の遺跡において測定の実験をして有効性を確認すること、をまず課題とした。 装置の組立では、専用の磁気センサ-を製作すると同時に、それを作動させる電気回路の設計をおこない、試作品を完成した。しかし、最初の装置は目標とする測定精度に達していなかったため、試作第2号機を製作することとした。これでは、デ-タ記憶容量も増加させた。 製作にあたっての主な問題は、三軸のセンサ-の軸合わせが正確にできなかったこと、駆動する電源の耐久時間に制限があったこと、当初計画した電気回路が適当ではなかった、などの点であったがいずれも克服することができ、有効な装置が完成できた。これらの点検作業は、室内と野外での測定でおこなったものである。 完成した装置によって有効な測定ができることが判明したので、住居跡と窯跡を対象に選び、遺跡における実際の測定を試みた。この内住居跡の例では、測定範囲が未発掘であるため成果の照合検討ができないこと、また、測定デ-タから実際の遺構を推定するプログラムが開発途上であるために、十分な成果をあげるまでには至っていない。 しかし、窯跡の測定実験では、幸いにも対象とした範囲に2基の窯跡が近接して並存していて、従来の磁気探査では2基存在の弁別が不可能であったものが、開発した新たな装置によれば明瞭に区分できるという成果をあげることができた。 この成果の一端は国際学会で発表し、開発の成功を祝福されるなど、大きな反響を得たところである。
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