研究課題/領域番号 |
03554001
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田原 譲 名古屋大学, 理学部, 助手 (10135296)
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研究分担者 |
千田 治光 オークマ株式会社, 第一開発部, 研究員
国枝 秀世 名古屋大学, 理学部, 助手 (00126856)
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キーワード | X線光学 / X線望遠鏡 / 超精密加工 / 表面粗さ / コーティング |
研究概要 |
今年度は(1)樹脂接着法という被加工物(ワーク)の新しい保持法を用いた、超薄肉鏡面基板の試作、(2)試作鏡面基板に施すアクリル・コーティング装置の製作とそのプロセスの確立、(3)金のアクリル面への蒸着装置の製作とそのプロセスの確立、(4)試作鏡面の機械的、光学的、及びX線による性能評価を行なった。 ワーク保持法については、昨年は真空チャッキング法を用いて0.5mm厚まで高い形状精度の円錐鏡(直径150mm,長さ100mm)が製作されたが、0.3mm厚ではチャッキング溝の構造がワークに影響し精度が出せなかったため、より一様構造を持つ保持方法として光硬化型水溶性の樹脂を用いる方法を試みた。この方法により、0.3mm厚まで高い形状精度の円錐鏡を製作することができた。 アクリル・コーティング・プロセスについては、アクリル・ラッカーの濃度、温度、ディッピング時間、引き上げ速度とコーティングの厚さや一様性との関係を調べ、最適パラメータを決めた。金の蒸着装置については、タングステン・ワイヤを用いた通電加熱蒸着のための装置を、既設の蒸着槽内に作り、特にアクリル面の熱損傷の生じないような、蒸着条件を明らかにした。 試作円錐鏡の性能評価は、機械的には触針計を用いて、光軸方向のプロファイル、真円度、表面粗さ、又光学的には光軸回りの平均スロープの分布を、そしてX線によって光軸方向のX線反射プロファイルを評価した。 評価の結果、樹脂接着法を用いて試作された円錐鏡は、アルミ・フォイルを用いた従来の多重薄板X線望遠鏡に比べ約40%改善された結像性能を持っていることが明らかになった。結像性能の劣化に慶響している因子では、(A)10mmより長いスケール、(B)10mmより短いスケール、(C)光軸回り(真円度)の3つの分けて調べると、(B)の寄与が一番大きく、これがさらに40%改善されれば当初の目標である1分角(Half Power Diameter)が達成できることがわかった。
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