研究分担者 |
森 義治 高エネルギー物理学研究所, 助教授 (30124176)
今野 収 東北大学, 理学部, 助手 (90004449)
寺沢 辰生 東北大学, 理学部, 助教授 (40004436)
前田 和茂 東北大学, 理学部, 助教授 (20125652)
斎藤 悌二郎 東北大学, 理学部, 助教授 (70004322)
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研究概要 |
偏極標的製作の第1段階として,アルカリ金属を気化させ,それに円偏光レーザーを照射してアルカリ金属原子を偏極させた。偏極された原子が容器の管壁と衝突して減偏極されるのを防ぐために容器内部をシラン系のコーティング材で処理している。また,励起ルビジウムの崩壊に伴う光がルビジウムに再吸収されて偏極を崩す輻射捕獲を押さえるために,3000ガウスソレノイドコイル磁場中でオプティカルポンピングを行っている。 偏極標的の性能の評価のためには,ルビジウム原子,重水素原子,重陽子の偏極度をそれぞれ測定する必要がある。我々は,まずファラ-デ-回転法により,ルビジウム原子の密度と偏極度を測定するための測定系を整備し,様々な条件下での評価を行った。この測定系は0.01^○以下の誤差で回転角を測ることができ,ガラス容器の回転角(0.56^○)からパイオレックスガラスのベルデ定数としてV=2×10^<-4>degrees/gauss・cmを得た.様々な温度でルビジウム原子の気体厚さと偏極度を測定した結果,4×10^<13>atoms/cm^3の気体厚さのもとで、偏極度40%を得た. 偏極重陽子標的を製作するためには,まず重水素分子を原子に解離する必要がある。我々は高周波を用いた解離装置を製作し解離の試験を行っている.四重極質量分析器を用いて重水素の解離度を測定したところ,質量数2のピークが観測され重水素分子の解離が確認されたが,短時間でガラス内壁のシランコーティングが破壊されて解離度が低下することが判明した.このコーティング破壊の解決は偏極標的の開発にとって重要な課題であり,今後に残された問題の1つである. 偏極重陽子標的の開発,さらにそれを用いて実験を行うためには信頼できる偏極度計が必要である.我々は,現在,この目的のためにLambシフト型偏極度計の開発に取り組んでいる.
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