研究概要 |
希土類化合物は育成のあらゆる段階を通じてガスが吸蔵される極めて活性な物質である。そのため、純良な単結晶育成は一般には困難な現状にある。そこで技術開発が著しい超高真空下で育成を行うことによって克服しようと意図した。本研究試験炉はボート状の水冷銅製ルツボ上で高周波を用い、希土類化合物を帯溶融させることによって単結晶化させる。従って希土類化合物のインゴット自身が発熱体となり、インゴットの上部は溶融され、ボート状のハースに接触する部分は冷却されるのでどんな元素金属に対しもハースが反応することがない。欠点は融体の蒸気圧が高い化合物に対しては全く効力を持たないことである。本研究試融炉はこと下に述べるごとく、超高真空下でのアニーリング(焼鈍)炉としても利用できる。主として取組んだ物質は重い電子系の典型物質であるCeRu_2Si_2と立方晶のラーベス構造を有するRX_2(Ri希土類元素X=Rh,Ru,Ir)単結晶育成である。以下にその研究結果を述べる。 (1)CeRu_2Si_2に対してはまずトライ・アーク溶解炉で単結晶を育成した。その後本研究試験炉で、1×10^<-8>torrの起高真空下で1500℃の高温で5時間アニールを行った。この脱ガス・アニーリングは単結晶の純良化に極めて効果的であり、残留抵抗比が250の世界最高の単結晶が育成された。この純良単結晶を用いて、ドハース・ファンアルフェン効果の実験によりサイクロトロン質量が120m。の世界で最も重いキァリアを検出することに成功した。 (2)Rx_2の帯融による単結晶育成を試みた。その結果、LaRh_2で成功し、始めて単結晶を育成することができた。この試験を用いて、ドハース・ファンアルフェン効果によりフェルミ面の性質を明らかにした。
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