研究課題/領域番号 |
03554008
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
白田 耕藏 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80164771)
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研究分担者 |
足立 肇 東芝, 原子力技研, 主査
渡辺 信一 電通大, 電通, 助教授 (60210902)
大谷 俊介 電通大, レーザー, 教授 (60023735)
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キーワード | 真空紫外 / 非線形光学 / 量子干渉効果 / 水素原子 |
研究概要 |
本計画は平成3年度から3年度にわたるものであり、平成4年度はその第二年度である。初年度からの実験システムの準備は順調に進行し、平成4年度において原子密度、相互作用長をパラメータとした水素原子における三倍高調波発生(SHG)過程の特性を測定してきた。 特に今年度は水素原子の生成法の改良に力点をおいた。水素原子の生成法としてマイクロ波放電法と共にRF放電についても検討した。マイクロ波放電については水素ガスのほかに水分子を10%程度添加することにより放電の安定性、水素原子の生成共に大幅に改善されることが分かった。しかし、水分子の添加により相互作用領域での状況は必ずしも明瞭ではなくなった。一方、RF法は水素ガスのみで安定な放電は得られる長所があるが水素原子の生成効率はマイクロ波法に劣る。現状の方法で得られた水素原子の最大数密度はマイクロ波法による5x10^<14>cm^<-3>であるが、目標の2x10^<15>cm^<-3>にはまだ及ばない。両方法とも一長一短がある。しかし、最近マイクロ波放電プラズマに永久磁石を用い磁場をかけることにより放電の集中が起こり水素分子の解離効率が上がることが示された。この方法を改良することにより水素原子の生成についての目標は達成しえるものと思われる。 一方、レーザーシステムは広帯域でモードホップ無しに同調可能な単一モードの色素レーザーが完成し、SHG過程について更に定量的な実験が行なえる状況が達成された。実際、現状で行ないえる原子密度・相互作用長の条件下ですでに10^<-4>近い変換効率が得られ、その振る舞いは理論的予測と良く合致している。水素原子の効率良い発生法が完成すればさらなる変換効率の上昇が期待できる。本成果は量子干渉効果により高効率の非線形波長変換が可能なことを実験的に示した最初の例である。
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