研究概要 |
本研究は、石油・石炭等の構造探査や厚い地盤構造・地殻上部構造の探査において、探査のより省力化、効率化を図るために従来の反射法・VSP法探査を精査として位置づけ、そのための広域概査に微動探査法を導入し、その実用化を図ることを目的とする。 研究計画に沿い、道北豊富町のNEDOの石炭資源開発基礎調査地において、すでにVSP調査の行われた深さ約1,000mの深井戸地点8ヶ所で、上下動成分13点から成る地震計アレイを展開し、微動探査を行った。実施時期は平成3年9月6日〜12日の7日間である。アレイサイズは最大約1,000mにとった。観測時間は約45分間、改良した手製ディジタルレコ-ダ-に1/100秒サンプリングで記録、デ-タの収録・一次処理を観測現場で測定直後実施する試みに成功した。すなわち観測デ-タの質の良否が即刻判断でき、欠測あるいは観測失敗によるデ-タ欠除が回避できるという実用化への1つの成果を得た。 デ-タ解析は周波数一波数スペクトル法により、結局8ヶ所全てにおいて、周波数範囲0.25〜4Hzのレイリ-波の位相速度800〜1,800m/sを得た。これにより、深さ約2,500mまでの地下構造を6層のS波速度で推定することができた。その結果を各井戸のVSP法探査結果と対比し、本研究で目的とする微動探査法が概査として実用化できる可能性が極めて強いとの結論を得た。すなわち、VSP法の探査深度1,000mまでは、両者の速度境界面位置の対応が良く、またS波速度から換算したP波速度は、VSP法による推定値と非常に良く一致した。また今回の観測実験には間に合わなかったが、軽量で携帯容易・操作簡便な地震計(UP255型3成分地震計)の改良・検定を行った。その結果、本研究の微動探査法が必要とする固有周期8秒はコンデンサ-容量10μF、減衰定数0.7は外部シャント抵抗50KΩで良いとの結論を得た。
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