研究概要 |
本研究は、石油・石炭等の地下資源の構造探査や厚い地盤構造・地殻上部構造の探査における反射法・VSP法等の精査法に先立つ概査法として、広域の探査が容易でかつ精査法に直接寄与する物理量で探査可能な微動探査法の開発とその実用化を目的とする。 平成3年度:(1)道北の石炭資源開発基礎調査地内8ヶ所にある深さ約1,000m井のVSP調査地点で、上下動成分13点のアレイを展開。各ヶ所アレイサイズ約1,000m、試作ディジタルレコーダによる微動観測で、データ収録・一次処理を観測直後、現場で実施する試みに成功。(2)F-Xスペクトル法で、0.25-4Hzのレイリー波位相速度800-1,800m/sを求め、深さ約2500mまでの地下構造を推定した。VSP法探査結果と比較し、深さ1,000mまで速度境界に良い一致がみられた。 平成4年度:(1)十勝のテストフィールドで、旧地震計PELS73V10台による半径5kmと2kmの2種類のアレイによる微動観測及びF-K法によるレイリー波位相速度推定を行い、深さ3,000mまでのS波速度構造を推定した。また(2)新地震計UP-255を9台使用した最大半径180mの3種類の半円形アレイによる微動観測及び空間自己相関法によるラブ波の位相速度推定を行い、深さ500mまでのS波速度構造を推定した。 平成5年度:(1)購入分10台の3成分地震計UP-255の固有周期を1秒から8秒に改良し全地震計の特性を揃え、過年度製作のレコーダ30台にプリアンプを装備した。(2)整備された観測機器により、十勝のテストフィールドで、口径最小700m、最大5,200mの9種類のアレイによる微動探査では、最大約3,500mの地下構造を推定した。(3)微動から表面波の位相速度を推定するための「周波数・波数スペクトルの計算法」をFFT法からARモデル法に改良し、位相速度の推定精度を高めることができた。また空間自己相関法の拡張によってアレイ設計が自由になり、実用化へ向けたソフト面で大きな成果が得られた。
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