研究概要 |
コヒ-レントなレ-ザ-光を光源として用いたホログラフィ干渉法は,三次元の物体のわずかな形状変化をレ-ザ-光の半波長を基本単位として定量的に検出できる優れた計測法であり,地殻変動の観測にも応用されているが,湿式の写真処理技術を必要とすることがこの方法の最大の難点であった。そこで,本研究の目的は,ホログラフィ干渉法の利点を生かしながらさらにこれを発展させたものとして,写真乾板を使用せずに,テレビカメラと計算機を用いたディジタル画像処理によって干渉計測を行ないうる電子式スペックル・パタ-ン干渉法(ESPI)を地球物理学の分野に世界で初めて導入し,高精度で,しかも,機動性に優れた地殻歪・応力測定装置を開発することにある。このために,平成3年度に以下のことを実施した。 1.科学研究費補助金の交付の内示を受けて,研究代表者の竹本は,研究分担者の田中,天神林と協力してESPI法に基づく孔内型地殻応力測定装置の具体的な設計を行なった。 2.平成3年7月末に,竹本が光学応用科学技術(OASE)国際シンポジウム出席のために訪米した機会に,かねてからホログラフィ干渉法およびESPI法の地球物理学的応用に関して連絡をとりあっていたコロラド大学のスペッラ-教授を訪れ,ESPI式孔内型地殻応力測定装置の基本設計図を示して意見を求め,多くの貴重な助言を得た。竹本が帰国後,コロラド大学グル-プの意見を加味した最終的な設計図を完成させ,孔内基本部分の製作にとりかかった。 3.この間,He-Neガスレ-ザ-,画像処理装置,画像解析装置などの購入備品のテストを行なった。 4.平成3年12月までに孔内基本部分の製作を終え,平成4年1月〜3月にかけて,装置を組み立てた後,室内予備実験を開始した。
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