研究課題
試験研究(B)
かつて成層圏の水蒸気測定に活躍した露点ゾンデは、鏡面の冷却にフロンを使用していたため世界的に使用が取り止められるにいたった。水蒸気量は、天気予報の精度向上のためにも大気科学においてもきわめて重要視なパラメターである。水蒸気量の定常的な観測にふさわしい測定器が開発されれば、これらの方面で大きな貢献が期待できる。本研究では、フロンを使用しないゾンデの試作を中心に検討し、あわせて従来型のゾンデの問題点(システム全体の不安定性、成層圏での冷却能力の低下、露点か霜点か不明、鏡面の熱容量の軽減の必要性)の解決をめざした。室内実験用の試作器により種々の検討を加え以下の結論を得るにいたった。1.冷却部分にサーモモジュールをもちい、その冷却面に直接金属蒸着し鏡面とすることによって、フロンを用ないしかも鏡面の熱容量が極端に小さい露点ゾンデを制作することが可能である。2.実験用に試作した装置をもとに、完成時の露点ゾンデの形状、重量、電源などを検討すると、いずれも以前のゾンデと変わらないかそれ以下となった。3.光源や受光素子を半導体化することによりシステムの安定化がはかられた。4.露点と霜点の区別は、地上での条件下(水蒸気量が大きく、鏡面全体に密に水滴ないしは霜が着く)ではきわめて困難であった。今後、いろいろな条件下でデータを集める必要がある。以上を総合し、かつての露点ゾンデに変わる定常観測用の新型露点ゾンデを作製するについて、技術的な問題は基本的には解決されたといえる。
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