研究概要 |
研究実施計画における本年度の目標は、FT-ESR装置の組立て、高濃度サンプルを用いた信号の検出、制御ソフトウェア-の構築であった。 1)マイクロ波のパルス幅については、現在20ナノ秒弱で目標の10ナノ秒が実現されていない。しかし、これはPINスイッチドライバ-の遅延によるもので、2台のPINスイッチを使用すればパルス幅の短縮化を図ることができる。これは来年度に実行する。2位相検出システムはANAREN社Quadrature IF Mixer,ORTEC社IF増幅器2台,NICOLET社スコ-プで構成した。検出器の位相精度の向上およびバランスの補正のため4位相(0,90,180,270度)マイクロ波パルス発生器を試作し、凝次信号パワ-を10dB以上減少させることができた。PLLガン発振器に関しては、PLL回路はほぼ完成し、マイクロ波プリスケ-ラの部分を製作中である。 2)試作したル-プギャプ共振器は、Qが100程度で帯域が約70MHzである。この共振器は上の条件で空洞共振器に比べて感度が1桁程度高く、優れている。さらに帯域を広げるためにはマイクロ波のパルス幅を狭くすれば良いので、これは1)の方法で行う。 3)マイクロ波パルスとレ-ザ-パルスの周期回路は高速長距離伝送用ドライバ-と高速フォットカプラを用いて試作した。現在、10mのケ-ブルを使用してジッタ-は5ナノ秒以下である。 4)コンピュ-タ-のソフトは、レ-ザ-パルス制御、マイクロ波パルス制御、位相制御など順調である。 5)FT-ESR信号は、DPPH,TCNQの信号が測定され、これを用いて装置の最適化をはかっている。
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