研究課題/領域番号 |
03554016
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 保 東京大学, 理学部, 教授 (10011610)
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研究分担者 |
藤原 康雄 日本石油株式会社, 中央技術研究所, 所長
貫名 義裕 日本電子株式会社, 分子機器技術部・研究開発部, MSグループ担当課長
野々瀬 真司 東京大学, 理学部, 助手 (70212131)
永田 敬 東京大学, 理学部, 助教授 (10164211)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | クラスターイオン / クラスター内重合 / 光電子分光 / 衝突誘起解離 / 絶対反応断面積 |
研究概要 |
液体内部あるいは表面にある分子の同定、及び状態分析をおこなう方法を開発した。レーザーイオン化法および質量分析法を、真空中の連続液体流(液体分子線流)と組み合わせた。この方法を、芳香族化合物のアルコール溶液あるいは水溶液に適用し、溶液中におけるそれら分子の構造、及び光イオン化の過程を調べた。 液体分子線は、20μm以下の小孔から直接真空中に液体を導入することによって形成した。液体分子線流存在下でも、真空度が10^<-6>Torrに保持できるようになった。試料として用いた芳香族化合物の吸収波長帯に、レーザーの波長を合わせ、多光子イオン化によって試料分子のみをイオン化した。このようにして生成したイオンを飛行時間型質量分析器によって検出、同定した。生成イオンをパルス電場によって加速することにより分解能300を達成した。典型的な系について得られた結果を以下に示す。 アニリン/エタノール溶液を用いた場合、アニリンの2光子イオン化によって生成したイオンが気相中に飛び出す過程はクーロン爆発によることがわかった。また、この液溶中ではアニリンがエタノール中で部分的に会合していることが示された。 また液体界面付近における分子の構造を調べるため、界面活性剤、塩化N-ドデシルピリジニウムの水溶液にレーザーを照射した。その結果、疎水基が液体表面から突き出し、親水基が液体内部にあってさらにその部分がイオン対に分かれていることが示唆された。 今後の課題として、分子量の大きな生体関連物質への応用、低速の電子線を用いて、溶液中に溶媒和電子あるいは負イオンを効率よく生成する放射線化学への応用、検出感度を高くすることによる分析化学への応用が考えられる。
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