NMRによる有機分子構造決定の為の計算化学ソフトウエア

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03554020
• 研究機関: 豊橋技術科学大学
• 研究代表者: 大澤 映二 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40001763)
• 研究分担者: 浜田 辰夫 北海道大学, 薬学部, 助教授 (40001979) ; 米光 宰 北海道大学, 薬学部, 教授 (60001038)
• キーワード: 計算化学 / 分子力学 / 構造決定 / NMR / ビシナル結合定数 / 配座自動発生 / 配座空間探索 / 有機化学

研究概要

(1)配座発生および分子の算出の為のプログラムCONFLEX
環式配座に対するアルゴリズムはほゞ終了したが、鎖式構造に対する配座は、環式よりも数が2桁以上多くなり、非常に困難となることが判明した。これまで鎖式配座に対する系統的研究は皆無に等しかったので、n-デカンまでを克明に調査したところ、配座数は3n(nは内部C-C結合数)よりもかなり多いこと、しかし配座分布は高エネルギ-側に偏よっていること、これはGG'部分の非対称変形に伴う新エネルギ-極小点の発生によることなどが明らかとなった。そこで低エネルギ-領域のみを効率的かつ徹底的に探索するアルゴリズムを考案し、その性能を試験したところほゞ期待通りの効果を示した。
(2)分子力学法によるエネルギ-極小化プログラムUMF
溶媒効果項を分子力学の立体項の一つとして付け加える為に連続誘電媒体中の反応場理論アルゴリズムの作成に努力を注いだ。Stillの先駆的な方法に見られた物理的意味に乏しいパラメ-タの導入を避けるためにScale particle理論をとり込み、その為に分子の表面積だけでなく体積の一次およ二次微分展開を必要としたが、これをほゞ終了し、さらにプログラムのテストに向けた展開を継続中である。
(3)結合定数計算プログラム(3JHH)
NMRデ-タベ-スから約500点のビジナル結合定数デ-タを取り入れてKarplus改良式の精度向上を試みつゝある。

研究成果

• [文献書誌] H.Goto,E.Osawa,M.yamato: "A Systematic Study on the Conformational Space of Small n-alRanes"
• [文献書誌] T.Hirano,T.Miyajima,K.Imai,T.Fujiyoshi-Yoneda,E.Osawa: "Re-evaluation of 1.4-Nonbonded Interaction in Molecular Mechanecs" J.Phys.Org.Chem.
• [文献書誌] H.Goto,E.Osawa: "Further Developments in the Algorithm for Generating Cyclic Conformers" Tetrahedron Lett.(1992)
• [文献書誌] N.Nakajima,T.Matsushita,O.Yonemitsu,H.Goto,E.Osawa: "Stereoselective Total synthesis of 16-Membered Macrolede Aglycons." Chem.Pharm.Bull.39. 2819-2829 (1991)
• [文献書誌] E.Osawa,K.Imai,T.Fujiyoshi-Yoneda,C.Jaime,P.ma,S.Masamune: "On the Possibility of Determining Stereochemistry in Acyclic Polyhydroxylated Compounds." Tetrahedron. 47. 4579-4590 (1991)
• [文献書誌] S.Tsuzuki,L.Schafer,H.Goto,E.D.Jemmis,H.Hosoya,K.Tanabe,E.Osawa: "Investigation of Intramolecular Interactions in n-Alkanes" J.Am.Chem.Soc.113. 4665-4671 (1991)
• [文献書誌] E.Osawa,H.Goto(分担): "Computer Aided Innovation of New Materials" Elsevier Sci.Publ.(アムステルダム), 984 (1991)
• [文献書誌] E.Osawa (分担): "The Chemistry of Alkanes and Cycloalkanes" John Wiley x Sons,(ニュ-ヨ-ク), (1992)