研究課題/領域番号 |
03554021
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大野 素徳 九州大学, 理学部, 教授 (30038434)
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研究分担者 |
木原 大 宝酒造(株), バイオ研究所, 次長
服部 正策 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00164864)
小川 智久 九州大学, 理学部, 助手 (80240901)
下東 康幸 九州大学, 理学部, 助教授 (00211293)
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キーワード | ハブ毒 / 塩基性タンパク質I / 筋壊死活性 / ハブ血液 / 塩基性タンパク質I結合タンパク質 / 糖タンパク質 / N端アミノ酸配列 / 脱分極 |
研究概要 |
徳之島ハブ毒の塩基礎性タンバク質I(Lys-49-ホスホリパーゼA_2であり、筋壊死活性の本体と見做される、BPIと略称)に結合する徳之島ハブ血清タンパク質の精製を実施した。 ハブ血清の50%硫安沈殿画分を出発原料とした。この沈殿タンパク質を透析し、DEAE-セルロースカラム(ph7.5)にかけ、塩化ナトリウムによる段階的溶出を行った。0.5M塩化ナトリウム溶出画分(DE-3)にBPI結合活性がみられた。DE-3をBPIを固定化したカラムにかけた(ph7.5)。0.5M塩化ナトリウムで非特異的に結合したタンパク質をHPLC(ODS 120T カラム)にかけ、主成分タンパク質を得たが、これは活性が低下したものであった。DE-3をブチルトヨパール650Sによる疎水クロマトグラフィー(硫安1.0〜0M)を行い、ほぼ純料なタンパク質を得た。分子量は26,000であった。N-グリカナーゼで処理すると、分子量は23,000へと低下し、糖タンパク質であることが明らかとなった。N端のアミノ酸配列はLys-Arg-X-Asp-Phe-X-Gln-Ile-Gly-Ala-X-Glu-Gly(Xは未同定)と求められ、高活性型Asp-49-ホスホリパーゼA_2のインヒビターとは異なることがわかった。一方in vivo実験によりBPI結合タンパク質がBPIの筋壊死活性を抑えることが確認された。 徳之島ハブ毒中の出血を伴わないT_2プロアーゼの結合タンパク質の精製を行っているが、完全精製までにはなお検討を要する問題を含んでいる。 徳之島ハブ毒中の3種のホスホリパーゼA_2の生理機能の検討を行った。低活性であるBPIやBPIIが高活性型Asp-49-ホスホリパーゼA_2より筋壊死作用が2倍以上も強いこと、そしてこれはBPI及びBPIIの細胞膜脱分極作用によることが明らかとされた。
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