1.平成3年度、極微弱光瞬間分光(IPDA)装置の定常的観測が可能となった。そこでこの装置を用い、旧石器遺跡関連地層や火山灰堆積地層から抽出した石英粒子の熱蛍光特性を、天然TLのみならず、熱処理した石英についても調べることが出来た。また熱処理と中性子放射化分析により、青色TLから赤色TLへと変化する石英群は100ppm以上のAl不純物を含有しているという興味深い現象を見出すことが出来た。 2.高感度TL測定装置の開発のため、青・赤色TL同時測定をも行えるよう加熱装置を製作し、2個のセラミックスヒ-タにより1℃/秒での加熱が可能であることを確認している。温度制御部位も完成したので、ただ今ライトパイプによる光の高効率での検出を目指している。 3.TLのもう1つの高感度検出法として用いている写真撮影法を利用し、放射線照射中および直後のラジオルミネッセンスとアフタ-グロ-のカラ-画像化を、世界に先駆けて実現化した。更には、TLカラ-写真を当研究費で購入したイメ-ジスキャナで取り込み、これも当研究費で購入したパソコンにRGB値として取り込むことが可能となった。目下カラ-画像処理を試行している。 4.昇温、降温を繰り返す、イニシアライズ法を変化させたフラクショナル解析法を光計数装置と平成3年度購入したパソコンおよびソフトを結び付け、TL発光に関与する捕捉電子位置の深さなど、速度論的パラメ-タ-を簡更に得ることに成功した。低温側TLに結び付く浅いトラップ電子は平均寿命が短いので、長寿命のものに比較して蓄積量が少ない。従って、低温側で年間線量に相当するものを高感度TL測定装置で測定できれば、人工照射無しでも年代測定が可能となりうる展望を開くことが出来た。
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