研究課題/領域番号 |
03554027
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山崎 健一 名古屋大学, 農学部, 助手 (40182480)
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研究分担者 |
名取 與平 日清製粉株式会社, 中央研究所, 専門研究員
山口 淳二 名古屋大学, 農学部, 助手 (10183120)
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キーワード | 植物 / 遺伝子発現機構 / 試験管内転写系 / インビトロ転写系 / 核抽出液 / RNAポリメラーゼ |
研究概要 |
この研究の目的は、組織特異的遺伝子発現のもととなるmRNA合成の活性調節が植物ではどのように行われるかということを蛋白質間相互作用のレベルで解きあかすための実験系の確立である。平成2年度までの研究で、我々は、小麦胚芽抽出液の試験管内転写系を用いることにより、植物の塩基配列特異的転写因子(TGAla)による転写増幅を観察することに成功している。しかし、小麦胚芽の材料としての品質にばらつきがあり、必ずしも良い転写装置を抽出できるとは限らない。そこで、より安定した供給が可能で、しかも新鮮なタバコ培養細胞(BY-2)に着目して、タバコ細胞核抽出液を用いて試験管内転写を試みたところ、忠実度の高い転写開始が観察された。平成4年度の研究により、まず、タバコ転写装置の試験管内転写の至適温度、至適塩濃度、至適pH、二価金属要求性、α-アマニチンによる特異的阻害、転写開始のプロモーター依存性などの基礎データをそろえ、その特徴付けを行った。その結果、タバコ細胞核抽出液を用いても、小麦胚芽抽出液を用いたときと、ほぼ同様の特徴を示し、より高い再現性を有することが確認された。この研究における平成5年度の主たる成果は、核抽出液蛋白質の分画後の転写装置の再構成により、植物では始めて転写に複数の基本的転写因子が必要であることを生化学的に証明できたことである。さらに最近の研究により、この転写系がTATA-boxやシスエレメント内の点突然変異に極めて敏感に応答することが分かってきており、今まで、やろうとしても出来なかった植物の転写調節機構の細かな解析を行える可能性が見えてきたと考えている。しかし、研究の最終目的である組織特異的遺伝子発現研究のために、この転写系がどこまで適応可能であるかについては今後さらに検討が必要である。
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