研究課題/領域番号 |
03554028
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中井 泉 筑波大学, 化学系, 講師 (90155648)
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研究分担者 |
宮脇 律郎 名古屋工業技術試験所, 通産技官
中嶋 悟 東京大学, 理学部, 助教授 (80237255)
土山 明 大阪大学, 教養部, 助教授 (90180017)
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キーワード | 放射光 / 蛍光X線分析 / 状態分析 / 鉱物 / EXAFS / イオウ / リン / クロム |
研究概要 |
(1)軽元素用エネルギー分散型蛍光X線測定システムの試作 本研究で新たに設計製作した3素子Si(Li)半導体検出器は、高エネルギー物理学研究所の放射光実験施設ビームライン8Bに設置され、点分析についてはルーチンの測定ができる状態にまでシステムが完成した。 (2)硫黄とリンの状態分析 昨年12月に、初めて本システムを使った、実試料の測定を行うことができた。対象とした元素は硫黄とリンである。まず基礎データを収集するため、特徴的な硫黄の酸化状態、結合もしくは構造を持つ化合物を選択し、硫黄の吸収端スペクトルを測定した。硫化マンガン(IV)、チオ硫酸ナトリウム、硫酸銅、硫化鉛(II)、硫化銅(II)、硫化ヒ素(II)、硫化アンチモン(III)、硫化亜鉛(II)について、高精度のスペクトルが得られた。リンについては、燐酸亜鉛、ピロ燐酸亜鉛、燐酸ジルコニウム、トルコ石についてデータが得られた。未知試料として、ワスレ貝の腎臓に析出した生体鉱物に含まれるリンについて分析を行ったところ、良好なスペクトルが得られその存在状態を明らかにする事ができた。2月に2度目の実験を行う予定であったが、ビームラインの真空系トラブルで、3月現在復旧していない。4月には、実験を再開できる見通しであるので、来年度に集中的ビームタイムの配分をうけて、本研究を完成させる計画である。 (3)クロム、チタンの状態分析 隕石試料としてYAMATO691について詳細な研究を行った。X線吸収端スペクトルと放射光マイクロビームによるクロムとチタンの状態分析をおこなったところ、2価のクロムと3価のチタンの存在を見いだした。クロムは、酸化鉱物相に含まれていると考えられ、このような状態のクロムの存在は、理論的には予想されていたが、実験的に明らかにすることができたのは、本研究が世界で初めてのことである。
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