研究概要 |
本研究の目的は,単純一軸応力状態の衝撃負荷パルスを任意に制御し,高速変形を負荷途中で中断または急変させることにより,材料が高速変形している各段階における変形・損傷プロセスを測定する装置を試作することにある.具体的には,ひずみ速度10^<3-4>/sが達成できる圧縮型および引張り型のSHPB(スプリットホプキンソン棒)法に,負荷を変形途中で中断または急変させる機能を付加し,試験片を最終破断させずに回収できるシステムを構築している.本年度の主な成果を列挙する. 1.圧縮型の測定装置について,まず従来型のハ-ドウェアの設計およびその製作を行った.圧力容器,飛翔体加速部,バ-部について,いくつかの新しい工夫を行った. 2.次に,改良型のハ-ドウェアは圧縮型のSHPB法をベ-スとしたが,試験片の入力応力パルス,とくにパルス継続時間を任意に制御する機能を付加した.入力棒に導入された衝撃圧縮応力を固定端での反射を利用して引張り応力に変換し,試験片に負荷される圧縮パルスの継続時間を任意に設定可能な装置とした. 3.計測ソフトウェアについては,入力棒,出力棒からのひずみ信号を高速で2チャンネル(または4チャンネル)デジタル計測し,それらを波形解析し,高速変形途中までの一軸応力-ひずみ線図を求め,各種の高速変形材料特性パラメ-タを計算し,ユ-ザ-フレンドリ-な出力表示を行うためのソフトウェアを構築した. 4.試作圧縮型測定装置を用いて,予備的な測定を行った.試験材料としては,校正実験用の標準的なアルミニウムを用い,試験後回収された試験片を精密に研磨し,詳細に走査型電子顕微鏡(SEM),走査型超音波顕微鏡(SAM)観察を行った.
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