研究概要 |
(1)カソ-ド防食最適設計の基本的手法を開発した.まず電極を電流の涌き出しとしてとらえ土壌または溶液内の電位場をポアッソン方程式で表し,設計変数を涌き出し量と涌き出し位置として,必要電力を目的関数とする.次に支配方程式を境界要素法で近似し,金属の電位を一定値以下に保つという防食条件を付帯条件として考慮したペナルティ関数を導入して目的関数を修正し,共役勾配法により最小化を行う.この方法により,金属の全域で過不足なく防食を達成するための最適なカソ-ド電流および電極の配置を決定することが出来る.2,3の2次元例題により,本手法の有効性を示した. (2)上述の最適設計手法を実際の構造物へ適用し易くするために,3次元問題に対する検討を行った.3次元最適化問題においては2次元問題に比べて境界要素の数が増加するばかりでなく,設計変数による目的関数の感度解析の計算が複雑になるので,計算量が膨大になり,このために最適化が原理的には可能であっても事実上不可能となる場合すら考えられる.そこで,この感度解析Gaussの発散定理を利用して解析的かつ効率的に行う方法を開発した. (3)上述の(1)および(2)では,電極を腐食性媒質中に配置する場合を検討したが,実際には様々な理由により電極を構造物やプラントの壁面に直接配置しなければならない場合も少なくない.この場合には支配方程式がラプラス方程式となり,境界条件が設計変数となる.したがって,設計変数を変化させる度に境界を要素分割し直さなければならないので,計算量が膨大となる.この問題に対処するために積分方程式に特別な工夫を施すことにより計算量の大幅な低減を可能にする方法を開発した.
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