研究分担者 |
柳本 茂 (株)ショウティック, 鋳造部, 副主幹
北川 英司 (株)豊田自動織機, コンプレッサ事業部, 研究員
池田 勇人 (株)豊田自動織機, コンプレッサ事業部, 課長
小林 正木 九州大学, 工学部, 助手 (90037789)
鳥山 寿之 九州大学, 工学部, 助手 (30227681)
|
研究概要 |
本年度は,種々の形態の共晶シリコンを有するアルミ複合合金の10^7回疲労特性解明と合金中の共晶シリコン寸法の分布の統計解析を行った。これにより,超長寿命領域の疲労特性解明のための実験準備を完了した。得られた知見は次のようにまとめられる。 (1)アルミ複合合金中の不均質相(共晶シリコン)は疲労限度の観点からは,鋼中の非金属介在物と同様に,微小き裂と力学的に等価な作用をする。 (2)異なる共晶シリコン寸法と基地の硬さを有する10種類のアルミ複合合金を試作製造し、それぞれについて,共晶シリコンの最大寸法の極値統計分布曲線を作成した。これにより,種々の形態を有する共晶シリコンの最大寸法の分布は,極値統計に従うことが明かになった。この分布曲線を用いて,各試料の疲労強度に対する優劣を定量的に分析した。 (3)不均質相の最大寸法の極値統計分布曲線と,微小欠陥,非金属介在物に対する疲労限度の予測式を組み合わせ,多数の試験片の疲労限度のばらつきの幅の下限値を推定した。推定した疲労限度の下限値は,10^7回疲労強度の実験結果に対して妥当な予測になった。 (4)超長寿命領域用の疲労試験片の最適形状を決定した。現在この試験片を用いて,超高速疲労試験を実施中である。10^9回オ-ダの超長寿命領域でのデ-タは,本年度のみの実績では取得できないため、次年度に継続する。 (5)直径40〜200μm程度の人工微小穴を導入した試験片による,超長寿命領域での微小欠陥と共晶シリコンの力学的等価性の実験的検討も,項目(4)と同様の理由により次年度に継続する。
|