研究分担者 |
有本 享三 CRC総合研究所, 科学技術部, 課長
水野 衛 京都大学, 工学部, 助手 (70239250)
今谷 勝次 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (70191898)
星出 敏彦 都大学, 工学部, 助教授 (80135623)
田中 喜久昭 東京都立科学技術大学, 教授 (80081256)
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研究概要 |
本年度は,組織,温度,応力/ひずみの相互作用,すなわちMetallo-thermo-mechanical couplingを考慮して,metallo-thermo-mechanicsの立場から開発した有限要素解析コード″HEARTS″とそのデータベースの機能向上に努めた。とくに,マルテンサイト変態のカイネティックスについて基礎理論の発展と,焼入れに加えて焼きもどし過程の解析を,ε炭化物の析出,残留オーステナイトからのマルテンサイト化などの相変態とクリープの過程に支配されるとしてプログラムの構築を行った。 これを用いて,リンク(S54C材)の850℃からの油焼入れの後,200,300,400,500,600℃の各温度における焼きもどしに適用し,組織と応力分布の時間変化をシミュレートした。この結果は.応力測定と変形の測定結果と比較して,かなり良好な一致を示した。 また,コードの3次元化にかなりの精力をそそぎ,その検証としてウェブつき歯車の浸炭焼入れに適用して,満足される結果が得られている。また,高周波加熱による発熱過程を試行錯誤法で推定して入熱量を求め,これによる高周波焼入れついてもシミュレーションを行うとともに,残留変形の比較を行ったが,ミクロンのオーダーでその妥当性を検証することができた。 一方,溶接,鋳造,連続鋳造過程などにおける各種材料の相変態に伴う熱的・機械的特性のデータ収集とデータベース化およびそれらの有限要素法シミュレーションを行った。この結果は,遠心鋳造などの非定常過程ではかなり良い結果が得られたが,連続鋳造などの定常過程がは解の収束などにおいて不安定な面がみられた。この点については,今後凝固シミュレーションを“HEARTS"に組み込む際にさらに改善をはかる予定である。
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