研究概要 |
フレキシブルプリント配線板,FPCの耐折寿命に関する信頼性評価とその改善のための試験研究を実施した。特に、本年度は以下に示す二つの課題についての実証的な研究を行った。すなわち, {(1)使用環境に対応した耐折寿命に関する信頼性評価: {(2)粘弾性特性に焦点を合わせた接着剤の設計・開発: まず(1)について,耐折試験の環境温度を変えるために、試験機と恒温槽を組合わせて、温度を種々変化させ得る試験システムを開発した。本試験システムを用いて,環境温度を変化させた試験を,ガラス転移温度がそれぞれ異なる接着剤によるFPCに対して実施した。 その結果,試験環境がガラス転移温度以上となる場合には,急激に寿命が短かくなることが明らかにされた。 一方,(2)について,試験温度をガラス転移温度に一致させ,その上で接着剤の粘弾性特性,すなわちtanδの試験温度の変化の度合い,すなわちひずみエネルギ-を熱エネルギ-変換させ得る能力を変えた接着剤を種々作成した。かかる接着剤の粘弾性特性についての詳細な評価を行った後に,適当な接着剤を選別してFPCを作製した。これらのFPCを上記(1)の試験システムにて耐折試験を実施した。 その結果,ひずみエネルギ-を熱エネルギ-に変換させ得る能力が大きい接着剤を使用した方が,FPCの耐折寿命は長くなった。
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