研究概要 |
アルミニウム粉混入レジノイド砥石は,研削加工によって必然的に発生する研削熱が工作物ならびに砥石に流入することで生じるそれぞれの熱変形を軽減し,高精度研削加工に効果を発揮することがこれまで明らかとなっている。そこで本研究では,この砥石のドレッシングに従来用いられてきたPVA砥石法に代わる画期的ドレッシング法としてYAGレーザによる作用面生成法を開発し,前年度の予備実験において本ドレッシング法が良好な研削結果をもたらすことが明らかとなった。本年度はドレッシング条件が砥石表面性状に及ぼす影響について検討し,以下に示す主な結果を得た。 1.レーザパワー密度ならびに照射時間の制御によって砥石表面に与える熱エネルギを変化させる場合,エネルギの増加に伴ってレジノイドの盛上がり,レジノイドの飛散,砥粒の脱落および熱損傷,クレータ生成の4段階の変化過程となる。したがって,適切な照射条件でドレッシングを施せば,砥石表面に先端高さが揃った砥粒を除去させることなくチップポケットを生成することができる。 2.砥粒の保持強度は,照射領域の中心に分布する砥粒ほど小さく,ほぼレジノイドボンドの盛上がり限界まで徐々に本来の砥粒保持強度より低下する。 3.パワー密度15.2kw/cm^2のCWレーザを照射する場合,砥石周速度が0.061m/s以下では表面の砥粒が熱影響を受け,砥石表面から離脱するためチップケットは十分生成されるが,切れ刃先端位置は広範囲に分布する。砥石周速度が0.061m/s以上0.204m/s以下では,ほぼレジノイドのみが除去され,チップポケットの生成とともにあらかじめツルーイングを施すことで一定の砥粒切れ刃先端位置を得ることが可能である。 以上から,アルミ粉混入レジノイド砥石にYAGレーザによるドレッシングを施すことは高能率・高精度研削加工に有効であることが明らかとなった。
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