研究概要 |
研究実施計画にそって,分級実験装置を製作し,線形理論,数値計算および実験により,下記に述べるような新たな知見が得られた。 1.ハウジングとロ-タの回転壁形状と成層流形成との関係について。(1)適切な回転壁形状を設けることにより,安定な内部領域とエクマン層およびせん断層が形成される。内部領域では回転軸を含む切断面上に現れるハウジングとロ-タ壁のどちらか一方に曲率の変化がある限り,地衡流的流れが起こる。(2)ハウジングとロ-タ壁上エクマン輸送量は,軸断面におけるそれぞれの壁面法線と回転軸とのなす角度の関数で与えられる。 2.回転二重球装置の分級性能および原料粉体の分散方法について。ファインパ-ルを用いて分級実験をした結果,二重球装置における分級の鋭さ(レションスキ-のSharpness index)は3.8程度であるが,内球を円柱球に変更し,二球間すきまを小さくすると,分級の鋭さは2.8程度に改善されることがわかった。また液体合成洗剤を用い超音波にかければ,分散性が良いことがわかった。 3.単段の分級実験装置における成層状態と速度分布について。(1)多段分級を考慮し,流出部の流れ方向を半径方向外向きとしたが,その場合においても安定な準剛体回転成層流が得られる見通しを得た。(2)内部領域の速度分布は,せん断層付近を除して線形解に一致する。(3)せん断層では軸方向速度が下流に行くにつれて増大する。またその速度の大きさは,エクマン数の減少に対して増大する。 4.上述の流れ場における分級性能を飛躍的に向上させるためには,原料粉体をハウジング上エクマン層に供給しない工夫が必要である。 5.二段目においても,一段目の回転壁形状と成層流形成の関係が,ほぼ同じロスビ-数とエクマン数の関係で得られる。
|