研究課題/領域番号 |
03555038
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤松 映明 京都大学, 工学部, 教授 (40025896)
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研究分担者 |
玉川 雅章 京都大学, 工学部, 助手 (80227264)
高比良 裕之 京都大学, 工学部, 助手 (80206870)
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キーワード | キャビテーション / 気泡群 / 圧電セラミックス / カオス / 分岐 / 相関次元 / マイクロジェット / 衝撃波 |
研究概要 |
上記研究課題に関する研究を以下のごとく行った。 1.円盤型圧電セラミックス、音響レンズおよびロッドを組み合わせることにより製作した集束圧力波実験装置を用いて、種々の変動圧力場中での気泡群の挙動を高速度写真撮影ならびに圧力測定を通して観測し、以下の知見を得た。(1)個々の気泡は変形を伴いながら体積変化(振動)している。(2)圧電セラミックスへ加える電圧を線形に上昇させていくと、気泡周辺での圧力変化は周期倍分岐し、カオス状態に至る。(3)印可電圧を階段状に徐々に上昇させていくと、ある電圧値が圧力変化は周期アトラクターからカオスアトラクターに変化する。カオス状態での相関次元は高々3以下である。また、実験の理論的な解釈を行うために、音場中における、気泡間相互作用を考慮した気泡群モデルを用いて気泡の非線形振動特性を解析した。その結果、気泡振動は周期倍分岐を経てカオス状態に至ること、また、気泡間相互作用の効果により、個々の気泡の独立な振動形態は抑制され、カオス状態での気泡群の系の相関次元は、実験と同様に高々3以下に納まることが示された。以上のことより、気泡振動とカオス現象との関連が明らかとなった。 2.衝撃波と気泡の干渉ならびに壁面近傍での気泡の崩壊をALE法を用いて数値シミュレーションし、以下のことが示された。(1)衝撃波背後圧(=po)が大きいほど、気泡は体積が大きな間に変形し、液体マイクロジェットを発生する。(2)液体マイクロジェットの速度は、poが大きいほど速くなるが、poがあるしきい値(約10MPa)を過ぎると飽和する傾向にある。(3)気泡の内部状態はpoが約1MPa以下では一様と見なせるが、poが約100MPaでは気泡内部に衝撃波が発生し、気泡内部の温度ならびに圧力分布に著しい偏りが見られる。(4)自由壁近傍での気泡再膨張時に発生する衝撃波は、自由壁で反射し、二次キャビテーションを引き起こす。
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