研究課題/領域番号 |
03555041
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
黒崎 晏夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (70016442)
|
研究分担者 |
金井 俊孝 出光石油化学(株), 樹脂研究所, 室長
山田 純 東京工業大学, 工学部, 助手 (40210455)
佐藤 勲 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10170721)
|
キーワード | 高分子射出成形 / 伝熱制御 / 高品位化 / ひけ位置 / 残留応力・分子配向 / 粘弾性挙動 |
研究概要 |
本研究では、これまで金型温度を均一化するためだけに制御されてきた金型壁の冷却条件をより積極的に変化させて、従来にない高品位な高分子射出成形品を得るための技術を得ることを目的としている。研究計画の後半にあたる本年度は、伝熱制御によるより実用的な歪み発生位置の制御手法を提案するとともに、伝熱制御が高分子射出成形品の歪み、とその原因である応力や分子配向に与える影響を高分子の粘弾性挙動から予測し、伝熱制御による射出成形品高品位化の可能性を検討した。 (1)金型壁材料による壁面温度の変化とそれによるひけ位置の制御: 昨年度の検討結果から実用成形でも成形品を非対称に冷却することで成形品のひけ位置を特定の部位に制限できることがわかったが、これを実用成形に適用するために熱容量のきわめて大きな金型の温度を成形サイクルごとに上下するのは非現実的である。そこで金型表面近傍の材料を選定しその内部の非定常熱伝導の差異を利用して成形品表面温度を制御する手法を提案し、これによるひけ位置制御の有効性を確認した。 (2)成形品の冷却条件と残留応力・分子配向の関連の粘弾性検討: 成形品内には射出樹脂の冷却収縮によって歪みが発生し続けるが、これによる応力や分子配向は高分子材料の粘弾性によって次々に緩和し、最終的な残留応力や分子配向は歪みの発生速度、すなわち冷却速度と緩和速度のかねあいで決まる。特に射出成形品はその冷却速度が成形品厚さ方向に異なるため、応力や配向の残留過程がそれに伴って変化すると考えられる。そこで実験に使用した樹脂の粘弾性挙動を正確に測定し、これを基に成形品内で応力と配向の残留過程が高分子の粘弾性挙動によって支配されている領域を予測した。その結果、この領域の位置は成形品の冷却条件によって変化し、金型の温度を制御することで成形品の残留応力・分子配向をコントロールできることを示した。
|