研究概要 |
本研究は,平成2年度文部省科学研究費補助金(一般C)の研究課題「NC工作機械用サ-ボスピンドルの2相PLL制御に関する研究」を発展させ,実用化をはかるものである。 歯車加工機のようにエンドレスで一方向に回転するスピンドルを有するNC工作機械においては,工具とワ-クを高精度で同期回転させる必要がある。また,生産能率の向上のため,同期回転の可能な回転速度を極力高める必要がある。そこで,本研究においては研究代表者の提案になる2相PLLを利用して超高速同期システムを実現することとした。 本年度は,とくに2相PLLを用いた超高速NC同期システムの設計および実験の結果に基づく改良をRISC処理の計算機を駆使して行うとともに,実際の制御回路の製作やサ-ボスピンドルの設計・試作,システムの試験等を行ってシステムの改良に必要な実験デ-タの収集を行った。すなわち,2相PLLの挙動をシミュレ-ションにより求め,シミュレ-ションの結果を基に新たな高速2相PLL回路を設計した。回路の設計に当たっては,アナログ乗算器の応答周波数を考慮し,エンコ-ダの記録波長を長めにとり,2相PLLによる分割倍数を高めて必要な精度を得るようにした。このような工夫によっても必要な精度で分割された内挿後の出力は極めて高い周波数となるため,内挿後の処理回路も十分高い周波数に応答するように留意し設計を行った。 種々の予備実験の結果,提案の同期システムは,極めて対ノイズ特性が優れており,スピンドルの回転角を検出するエンコ-ダから得られる2相信号に,その振幅の数倍程度のノイズが含まれていても誤動作なく良好にロックすることが確認された。また,12,000rpmという高速回転においても実用上十分の精度で同期回転が保たれることが確認され,次年度における研究の基礎が確立された。
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