本研究の目的は、人工衛星搭載アンテナの地上試験で発生する空気力の影響に例を見るような静止空気中で振動する弾性平板に働く流体力の評価と、原子炉の熱交換器の管群に代表される狭い隙間を流れる流体にさらされた弾性梁に作用する流体力を評価することである。平成3年度は、実験装置の作成と発生流体力のシミュレ-ションによる見積りを行なった。前者に関しては、弾性支持された剛体平板の並進運動方向の自由振動波形の測定から空気力の測定を行なうための基礎実験を行なった。初期振幅、固有振動数、平板の形状、平板の縁の形状を変えて、実験を行なった結果、減衰振動波形の観察から、流体力の振幅依存性、周波数依存性、端部の形状依存性が明らかになった。低振動数で大振幅になると渦の放出によるとみられる付加減衰に対する流体による非線形性が顕著になることが明らかになり、速度自乗型の減衰に近くなっていることが発見された。また、後者に関しては、すき間流路を流れる流体にさらされた片持ち梁の流力弾性振動を対象として、制振するために必要な制御力について定式化を行ない、計算機でシミュレ-トすることに成功した。また、シミュレ-ションの結果に基づいて実際に、実験装置を製作し、圧電素子をアクチュエ-タに使いフラッタを制振させ、限界流速を2倍近くまで上昇させることに成功した。また、狭いすき間流路内を流れる水流にさらされた片持ち梁に発生するフラッタを観察するための実験装置を製作し、フラッタが発生するのを観察することに成功した。次年度は、伝達関数の測定から流体力を求めるための実験を行なう予定である。
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