本研究の対象は、人工衛星搭載用のアンテナに代表される静止空気中で振動する弾性平板に働く流体力の評価と、原子炉の熱交換器管群や磁気ディスクロードアームに代表される狭いすき間を流れる流体中にさらされた梁に働く流体力の評価である。 平成4年度は、狭いすき間を流れる流体中にさらされた弾性支持された剛体平板に働く流体力の評価を目的として、実験装置を製作し、圧電素子によって振動を制振させることに成功し、、その時にアクチュエータに加えられるエネルギーから励振力を測定することに成功した。また、この時発生する付加流体力によって弾性支持平板に発生するフラッタの限界流速が約30%増加することを確認した。これは理論によって予測されていた値ときわめて近く、理論計算の妥当性を示すことができた。 平成5年度は、平成4年度の研究を引き継ぎ、狭いすき間を流れる流体中にさらされた片持ち支持された弾性平板に働く流体力の評価を目的として、実験装置を製作し、圧電素子によってすき間流路入り口近傍に流速変動を与え不安定振動を制振させることに成功した。対象となった振動モードは梁の1次と2次のモードが連成して発生するモード連成フラッタである。この時構造系に作用する流体励振力は、弾性支持平板の場合と同様にアクチュエータに加えられるエネルギーから測定することができた。また、この時発生する付加流体力によって弾性支持平板に発生するフラッタの限界流速が約20%増加することを確認した。 最後に研究の最終年度にあたり、これらの研究成果を取りまとめ、成果報告書を作成した。
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