研究課題/領域番号 |
03555046
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機械力学・制御工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
光石 衛 東京大学, 工学部, 助教授 (90183110)
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研究分担者 |
鎮西 垣雄 東京大学, 先端科学技術センター, 助手 (20197643)
藤正 巖 東京大学, 先端科学技術センター, 教授 (30010028)
長尾 高明 東京大学, 工学部, 教授 (80010685)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | マイクロ・ハンドリング・システム / 多軸力センサ / 多軸力情報-聴覚情報変換 / 臨場感伝送 / テレ・オペレーション / マスタ・スレーブ・システム / バイラテラル |
研究概要 |
本年度は、前年度に作成した分散処理が可能なトランスピュータ・システムを中心として、人間が通常の世界にいながらにして微細な世界で多軸力情報を得ながら操作・加工できるシステムを構築することを行った。具体的には、(i)マイクロ・メートルからミリ・メートルの範囲において遠隔で加工や操作が可能なシステムの構築と、(ii)このようなシステムの操作性を向上させるため人間の五感情報のうち特に聴覚情報に着目して、多軸力情報を聴覚情報に変換して提示する手法の構築とを行った。 本年度試作した遠隔微細操作加工システムは、次の各要素から成る:マイクロ・ハンドリング部、マスタ・マニピュレータ部、実体顕微鏡部、多軸力情報-聴覚情報変換提示部、コントローラ部。マイクロ・ハンドリング部は、人間の右手と左手に相当する2組の系から構成されており、各系は粗動部、微動部、多軸力センサ、エンド・エフェクタ部(工具)とから成っている。工具に作用する多軸力を測定するため右手と左手の両方に3軸の力センサが組み込んである。この多軸力センサは、今年度新たに製作されたもので平行平板構造をしている。その薄肉部に生じる歪を箔ゲージによって検出する。定格は、各軸方向ともに900mNであり、最小分解能は0.45mNである。検出された多軸力情報は歪増幅器によって増幅され、制御コンピュータ(トランスピュータ・システム)に取り込まれる。この信号は操作性を向上させる力帰還型バイラテラル・システムを構築すため、マスタ・マニピュレータに送られる。さらに多軸力情報を聴覚情報に変換するため、信号をDCアンプに出力し、スピーカに送る。多軸力センサからの力情報を並列に処理するトランスピュータ上で実行されるプログラムとマスタ・マニピュレータを制御する実時間コントローラとの間の通信ソフトウェアは、ワークステーションのSbusに結合されたルート・トランスピュータ上で実行される。 試作したシステムを用いて作業者(被験者)にアルミ合金上に塗布した塗料(厚さ数100μm)を一定押し込み力で除去させる操作を行わせた。これは、プリント基板上の配線の修理を模擬したものである。この実験により多軸力情報を検出しそれを聴覚情報として操作者に提示することによって押し込み力をほぼ一定にしながら操作可能となったことが判り、システムの有効性が確かめられた。
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