本研究は、ロボットの組立作業への応用を進めるためには、ロボットアームの力制御技術の確立が必要であるとの認識のもとに、力制御に適した機構をもつロボットアームの試作、制御アルゴリズムの確立、および組立作業解析に基づく作業計画とその実施のための視覚利用方式の確立を目的としたものである。本年度の研究実績はつぎのように要約される。 (1)組立作業計画手法のソフトウェア化。 組立作業の計画の自動生成のための方法論として、我々は先に対象物とその環境間の接触状態の変化表す接触状態遷移ネットワークの各パスに遷移の困難度を表す評価関数を与えその総和を最小にすることによって最適な組立手順を決定する方法を提案している。また各接触状態間を移動するための時間軌道を決定する方法を提案した。今回はその改善をはかるとともにソフトウエアを整備した。具体的には、遷移の困難度を表す評価関数の精緻化を行うとともに、対象物の準動的操作という概念を考案し、これに基づく対象物の把持位置の一決定法を提案した。 (2)実用実験と研究のまとめ。 これまで確立した成果をもとに、実用に供するレベルの組立作業の実験を行ない、その有効性を検証することを目的として、コンプライアンス制御方式とハイブリッド制御方式の間をなめらかに遷移させる一つの制御アルゴリズムを考案し、その有効性を、開発したロボットシステムを用いて実験的に検証した。なお残念ながら組立作業の実験にまでは至っていない。 以上の成果により平成5年度の研究計画は、組立作業の実験を除いては、一応遂行できたものと考えている。
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