研究課題/領域番号 |
03555049
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電力工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 博之 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90134642)
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研究分担者 |
谷川 絋 日本電気(株), 生産材料技術本部, 部長代理
生駒 俊明 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80013118)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | マイクロマシン / 真空 / 超電導 / マイスナ効果 / ピン止め / 磁気浮上 |
研究概要 |
本研究では、超電導体と永久磁石の間に働く反発力を用い、真空中で小型の物体を浮上しながら搬送する装置の開発を行っている。この装置の応用として、真空連結した超清浄半導体プロセス内での搬送装置などを考え、半導体微細加工で作る超小型の浮上装置を用いることで、マイクロマシンにおける摩擦の問題と接触面からの発塵やガス送出の問題の抜本的解決を図っている。 (1)マイスナ効果による浮上型搬送機構の設計:この様な浮上型搬送装置として、永久磁石をつけたスライダーを浮上用の超電導体で非接触支持し、更に下面に帯状に配置した駆動用電極に電流を流すことでスライダーを水平方向に駆動する構造を考案した。すなわちこの装置は、マイスナ効果による反発磁気浮上装置と、同期式リニアステップモータを組み合わせたものである。最適な駆動用電極配置と永久磁石配置により、浮上力と駆動力を最大にしつつ、駆動精度を高めるような構造を設計した。更に、超電導体と磁石の間に働く浮上力と運動を妨げる制動力との関係を調べ、Y系の超電導体を選んだ。 (2)浮上型X-Y2方向搬送機構の製作と性能評価:超電導体として、イットリウム系の焼結バルク材を用いた。その上に駆動電極として、ポリイミドの絶縁膜上に銅フィルムを圧延し、それをフォトリソグラフィーとエッチングで180μmピッチの帯状に加工したものを2枚、電極が互いに直交するように重ねた。スライダー(浮上して動く部分)は、希土類磁石の粉末をエポキシ樹脂で固めたボンド磁石(1mm立方)を4つ、3mm角の銅薄板に貼り付けたものを用いた。超電導体を冷やす閉ループの冷却系を付加し、真空容器内で実験を行った。最小500〜65mAの電流でスライダーを動かし、ループや階段状など任意の二次元的軌跡を実現した。700mAでの瞬間最大速度は33mm/sだった。1ステップ(180μm)動かすときのステップ応答時間は20msであった。 (3)応用の検討:上記の結果より、本装置は例えば半導体製造用の真空装置内でのウェーハの搬送装置に応用するのに十分な基本性能を満足することが分かった。
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