研究概要 |
3カ年計画の最終年度に当たる本年度は、特に、フロンあるいは、他の環境汚染有機物の除去特性を詳細に検討すると共にその分解生成物を調査することにより、その反応機構解明への糸口を見つけることができた。具体的には、従来から引き続き、CFC113フロンの他に、トリクレン、アセトンの分解実験を行い、更に、本年度は、新たに、別のハロゲン系有機物である四塩化炭素、113-トリクロロエタン、12-ジクロロエタン、ジクロロメタンなどもその対象として高周波沿面放電による分解実験を行い、大気中100ppmから1,000ppmの場合、90%以上は、分解できること、分解率が50%前後の中間状態では、中間生成物として様々な塩化物が検出されること、特に、四塩化炭素の分解ではホスゲンが検出されるが、放電電力を増加させて分解率が90%以上となると中間生成物である各種塩化有機物はなくなり、炭酸ガスや水分となり、塩素は塩酸に変化することが判明した。また、これまでのところ、二酸化窒素の生成はほとんど認められず、N_2Oのみが検出されること、窒素、酸素いずれのみのキャリアガス中でも非平衡放電プラズマにより分解反応が認められること、また、空気のみを予め放電に曝した後に汚染ガスと混合しても分解が認められること、混合までの時間(1秒程度)により分解性能に変化が求められること、トリクレンにおいては極めて微弱な紫外線(2553A)の照射により100%近く分解することなど、トリクレンとアセトンの混合汚染空気での分解実験より、分解は前者が先におこり、分解に必要なエネルギーはほぼ単独時の和に近く、特別な相乗効果は認められないことなど極めて多くの知見が得られ、高周波沿面放電によるガス処理が広い汚染対象ガスに対して有効な処理手段であること、エネルギー効率もかなり高いことが明かとなり実用化上究めて有望なことが実証できた。
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