研究分担者 |
青木 伸夫 昭和電線電纜(株), 超電導事業推進室研究開発課, 課長
横水 康伸 名古屋大学, 工学部, 助手 (50230652)
早川 直樹 名古屋大学, 工学部, 助手 (20228555)
松村 年郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (90126904)
大久保 仁 名古屋大学, 工学部, 教授 (90213660)
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研究概要 |
本年度は,昨年度に設計・製作した超伝導変圧器,超伝導限流器,超伝導ケーブルを極低温デュワーに収納し,液体へリウムによる冷却試験を計3回行った.同時に,各機器の超伝導状態における通電・課電試験を実施した.その結果,以下の成果が得られた. (1)長尺・大容量デュワーへの液体ヘリウム充填技術を確立した.また,本デュワーの液体ヘリウム充填後における自然蒸発量は0.12l/分であり,液体ヘリウムの補給をほとんど必要としない程度であることがわかった. (2)各超伝導電力機器単体の状態で,それぞれ設計定格電流の20%までの電流を5分間連続通電した.その結果,この電流領域においては,通電による液体ヘリウム蒸発量の増加はみられず,交流損失が非常に小さいことを明らかにした. (3)超伝導変圧器の通電時における電流-電圧特性から,漏れリアクタンスは14.0%と実測された.この値は,計算値15.7%とほぼ一致しており,設計の妥当性が検証された. (4)各超伝導機器を液体ヘリウム中において接続して一貫超伝導送電システムを構成し,電力伝送の模擬試験を実施した.負荷としてはランプバンクを用い,超伝導環境下において3kWの電力を伝送することができた. (5)超伝導変圧器および超伝導限流器に対して課電試験を試みた.しかし,設計定格電圧(実効値:6000V)の25%でコロナ放電が観測された.調査の結果,ブッシング部が電気絶縁上の最弱点であることが判明した. (6)過去の各種実験で得られた超伝導電力機器および超伝導線材のクエンチ電流レベルを統計的に整理し,超伝導送電システムの臨界電流レベル協調における超伝導限流器と被保護機器とのクエンチ保護裕度として,1.35倍以上という具体的な指針を示した.
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