研究概要 |
オゾンは,酸素原子と分子の結合によって作られる。酸素分子が原子に解離するエネルギ-は約5evであるから放電空間の電子の平均エネルギ-がこの近辺にあれば最も放率よく酸素分子を解離できる。したがってオゾン生成効率も高くなる。平均エネルギ-の高い電子群はア-ク放電,グロ-放電,それらの陰極降下部,負性コロナ放電,あるいは正の定常コロナ放電では得ることが出来ないことが今年度の研究でより明確になった。唯一の方法は正極性ストリ-マ放電である。従来形(Siemens形)のオゾナイザ,増田(東大名誉教授)形オゾナイザは,いずれもこの放電を狭い空間領域で利用したものであると言える。 狭い空間で放電を繰り返し生成すると,前の放電で生成されて滯留しているオゾンが次の放電によって破壊されてしまう。このことがオゾン生成効率を低下させている大きな原因の一つである。これを避ける方法として,多数の正針を20mm以上平板から離した放電管を作った。各正針には少容量のセラミックコンデンサ放電によってnsecで立上る急峻パルス電圧を,それぞれ独立回路から供給した。コンデンサの充放電には多接点球ギャップ回転スイッチを開発し用いた。 コンデンサ容量,充電電圧,回転スイッチの入切回数を変化させてオゾン生成量を計測した。正のストリ-マ放電のオゾン生成量が最も大きいこと,ギャップが長いので生成されたオゾンの破壊が少いこと等が明確になった。
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